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犬が室内で飼育されるのが一般的になり、家族の一員として扱われるようになると、犬がどのような環境のもとで進化してきたか、犬が本来どのような環境を好むか、などの議論とは別の次元の問題として、犬体を清潔に保つ必要性が高くなってきました。
現在でもヨーロッパでは犬を頻繁に洗う事の弊害を考慮し、ブラッシング中心のケアーが望ましいとされ、室内飼育犬であっても週単位で犬を洗う文化はありません。
けれども、日本の愛犬家はますます犬に清潔を求めており、この先シャンピングは日課的なものになるでしょう。
従来から頻繁に洗う事の弊害とされてきた事項の克服はもちろん、合理的で正しい手法の確立により、犬のシャンピングが清潔、健康、美容のいずれの面でも有益なものにするべきです。
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■シャンピングの目的 |
- 皮膚と被毛の汚れを落とし、清潔にする。(清潔)
- 皮膚の新陳代謝を高め、被毛の発育を促す。(健康)
- トリミングがしやすいよう被毛を整える。(美容)
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■シャンピングの前処理 |
シャンピングは文字通り犬を洗うということですが、実際にはお湯をかけるまでの準備に多くの時間と手間をかける必要があります。
特にシャンピング前のブラッシングは丹念に行うことで、シャンピング作業は楽になり、犬の負担も軽くなり、仕上がりにも大きく影響します。
- 被毛のもつれ、毛玉を完全に取るため、体全体を入念にブラッシングします。
参考ページ: ペット飼育百科ブラッシング
- 耳のそうじをします。
参考ページ: ペット飼育百科耳の手入れ
- 爪・パッドの手入れをします。
参考ページ:ペット飼育百科爪・パッドの手入れ
- お尻の手入れをします。
参考ページ:ペット飼育百科お尻の手入れ
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■シャンピングの実際 |
1、少しぬるめのお湯(湯温は35℃〜38℃で軟水)を被毛全体に行きわたるようにかけます。
夏期や妊娠犬はぬるめにしましょう。
慣れない犬には優しく声をかけるなど恐怖心を取り除きながら行うと良いでしょう。
頭部のシャンプーをいやがる犬は、後方から静かに湯をあて前方へ流れ落ちる要領で作業しましょう。
下胸、下腹部は手のひらで被毛を受け、持ち上げ気味で湯をかけるとむらなく浸透します。
音や水しぶきを嫌う場合は、シャワーの面を被毛につけて内部に充分湯をしみ込ませましょう。
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2、シャンプー液を体にかけます。
薄めて使うタイプのものはあらかじめ希釈して別容器に入れておきましょう。
冬場などは、シャンプー液そのものも体温程度に温めておくと犬に負担がありません。
皮膚病の場合は病態に合った薬浴以外はしないで下さい。 |
3、洗います。
長毛犬種では決して指を立ててもみ洗いせず、手のひらで押すような要領で、被毛のまとまりを持ち上げるように洗いましょう。
背や側面、肢の部分は豚毛ブラシを毛流通りに使うと泡立ちもよく、被毛をもつれさせる心配もありません。
顔の部分は手早く洗いましょう。
口吻や目の下の被毛は汚れ易いので、毛の元から順に指先でつまむようにしてシャンプー液を染み渡らせます。
頭部や目の間はシャンプー液を染み込ませたスポンジなどを毛流にそって使うと手早く洗えます。
耳の中は指先にシャンプー液をつけて無理なく届くところまでは洗いましょう。
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4、シャワーで充分にすすぎます。
顔、背、腹、肢を順にシャワーで流します。
耳の付け根や目の周辺、肢の内側などはシャンプー液が残りやすいので入念に流しましょう。
被毛が厚い犬種ではシャワーの面を被毛に密着させて湯を内部まで行き渡らせます。
すすぎに際しても指を立てて毛をもつれさせてはいけません。
犬の目を指先で開き、素早く湯をかけて、シャンプー液や目やになどを洗い流します。
この作業は犬に恐怖心を与えず行うために人も犬も慣れるべきです。 |
■シャンピング弊害への注意点 |
- 被毛、皮膚の状態に合わせた良質のシャンプー液を選択する事はきわめて重要です。
- シャンピングの間隔が短い時は、良質のシャンプー液、リンス液、被毛や皮膚のケアー剤を使用しましょう。
- 体調が悪く体温が高い時はシャンピングをしないようにしましょう。
- クリッパーやスリッカーによる傷や外傷がある時はシャンピングをしないようにしましょう。
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